AMD Ryzenのコスパの良さとその秘密について

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AMDはIntelと常にライバル関係にある半導体企業です。

かつてはAMD vs Intelで熾烈な競争をしていたものの、IntelがCore2シリーズを出した2006年頃からAMDは性能面で太刀打ちできなくなり、戦う事を放棄。

一気に人気、知名度、株価共に地を這うまでに落ちてしまいました。

しかし、2017年 AMDはRyzenと言う商品を出し、AMDの逆転劇が始まりました。

そして、2016年のシェア17.5%から2020年は37.6%と約2倍以上に伸ばし、未だにその勢いが止まりません。

今回はAMDの大逆転劇を担った『Ryzen』のコスパの高さとその秘密について簡単に紹介します。

Ryzenを2020年7月~8月時点で買おうと考えている方へ

2020年の秋に第四世代Ryzenが登場予定です。

ここでは、Ryzenの凄さについて語りますが、もし買う場合は第四世代Ryzenシリーズが登場すると言われている秋に買いましょう。

 

Ryzenシリーズのコスパの良さについて

2017年3月3日にAMDが発表したCPUの名称で、Intelとは全く違うアプローチでCPUを製造し、価格を押さえつつ、高い性能を誇っています。

簡単にベンチマーク結果をご覧ください。

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CPU性能を図る指標である『Passmark』と『Cinebench』結果をまとめました。

順番はPassmarkのスコアが高い順に、並べてあり、一番左には大体の商品レンジが記載されています。

基本的にAMD RyzenとCore iシリーズそれぞれに付く番号はランクを表しています。

ハイエンドのRyzen 9とCore i9、ミドルハイのRyzen 7とCore i7と言う具合です。

ただし、注目すべきは同じ価格の商品を並べるとAMDのCPUはIntelに比べて最低1.2倍、最高1.6倍程度の高い性能を出しているのです。

特に1.6倍程度の差をつけたRyzen 9 3950X (2番)とCore i9 10900K(5番)は両方約8万円です。しかし、Ryzenの方のPassmarkスコアは39317、Intelは24039と1.6倍も差が出ています。Cinebenchマルチコアスコアでも約1.4倍とかなり性能を開けられています。

また、先ほど紹介した通り、基本的に商品に付く番号はランクを表しています。

しかし、この表を見る限り、Ryzen 7や5がワンランク上のCore i9とi7と性能面で互角に並んでいます。

あと今回の比較ですが、更に凄い点があります。

今回の比較対象であるIntel-CPUは第10世代、つまり2020年発売されたCPUです。

一方でRyzen 3000番台シリーズは2019年に発売されたCPUです。

テック系のサイトでゲームや動画エンコードなどより実用的なベンチマークを行っている所もありますが、最新の第10世代Intel Coreシリーズ vs Ryzen3000番台ではIntel向けに最適化されているゲームを除いてはほとんど同じクラスでは『AMD勝利』の状態でした。

このように、1世代進んでもIntelがAMDを越えられなかったことから、このRyzenのパフォーマンスの高さを認識できるかと思います。

しかも、冒頭で書いた通り、今年の秋頃出る新世代Ryzenは更にパワーアップ予定です。

Ryzenはなぜ高い性能なのに安いのか?

簡単に言うと、『不良品も活かせる』CPUの構造なのです。

CPUの製造では1枚の大きなディスク(ウェハー)に無数の半導体を印刷し、それらを切り離し一個のCPUチップとして出来上がります。

しかし、このウェハーに作られる無数のCPUですが、すべて製品に出来る事は無く何%かは不良品となるのです。もちろん半導体はクリーンルームで作っているものの、完璧にゴミは除去できず、顕微鏡サイズの小さな埃などの混入でその半導体は不良品になります。

CPUを製造していると不良品として、数あるコアの内、何コアかが動かない場合があるのです。もちろんすべて動かないものも出てきます。

通常であればこのように数コアが動かないものは利益を取りにくいローエンド(CeleronやPentium)CPUに転用されてしまうので、コストとしては上がってしまいます。

しかし、AMDはこの『何コアか動かないCPU』でもハイエンドにしてしまうのです。

それが、MCM(Multi Chip Module)と呼ばれる設計で、複数のCPUを1つにまとめてしまう技術です。つまりこういう事です。

Ryzenシリーズでは基本的に8コア動くように作られています。しかし製造上8コア以下でしか動かないCPUが数%の確率で発生する。

その場合、例えばRyzen 5(6コア)、Ryzen 3 (4コア)などに転用もしますが、同時にMCMと呼ばれる技術を使い、Ryzen 9 12コア(6コア x2)、Ryzen ThreadRipper 24コア(6コア x 4)などハイエンド製品にも流用できるのです。

こうすることで、ウェハーから取れるCPUを可能な限り高い価格帯でも売れるように工夫がされているのです。このような工夫をすることで製造コストを抑えられるのです。

また、基本設計は8コアで、それ以下はコアを無効か、それ以上は同じコアを2つ搭載と言う設計のため、設計・開発にかかるコストも下げる事が出来ます。なぜなら、最もパワーが必要な基本設計は1つだけしかないからです。8コア、12コア、16コアの製品を別々で設計するより圧倒的に効率化が図れます。

このような工夫の結果、Intelに性能面でも、価格面でも勝つCPUを作る事が出来たのです。

Ryzenは今年更に進化。ZEN3が秋にかけて登場?

コスパと性能がIntelより断然に良いRyzenですが、冒頭で警告として書いた通り更に進化する予定です。

ZEN3アーキテクチャと呼ばれる第4世代Ryzenが夏~秋にかけて登場すると噂がされています。

プロセスルールは第三世代Ryzenと同じく7nmですが、設計を変更することで性能面で大きな飛躍を遂げるとされており、Intelとの差を更に開けてしまいそうです。

もし、PCの買い替えや新規で組み立てを考えている方は、第三世代Ryzenが登場する秋まで待った方が賢明です。

このような熱い戦いがあってこそCPU性能は大きく向上するものです。この戦況を眺めるのも、実際に各社の新商品を買って参戦するのも非常に楽しい体験のように感じます。今年はAMDが勝つ年になりそうですが、来年、再来年はIntelの逆襲がどんなものなのか期待したいです。