日産はなぜ国内軽視なのか考えてみた。第1回『車の地産地消が原因説』

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日産は海外で人気かつ日本でもそこそこ需要がありそうな車なのに、なぜか日本では売られない車は沢山あります。巷では日産は日本軽視と言われていますが、その原因を考えてみました。

長くなるのでまず第一回目は『車の地産地消が原因説』についてです。

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日産セントラ(Mazdaセダンとは違うカッコよさがありますね)

日産は頑なに日本飛ばし?

海外で新型車は出るけど、日本で売っていない車を主観ですが思いつく限り挙げると・・・

  • 日産キャッシュカイ(かつてのデュアリス)
  • 日産ジューク
  • 日産セントラ(日本名:シルフィー)
  • 日産マイクラ(日本名:マーチ)

gazlog.hatenablog.jp

ここで挙げた4台はどれも日本で出ているけど旧型のまま放置プレイされている車です。(デュアリスに関しては消えましたが)

日産にとって日本はそこそこ売れるマーケットのはずなのに、ここまで日本飛ばしをするのには絶対に理由があります。

今回は日産がどうしてここまでして日本で新型車を売らないのか何個か「説」を考えてみました。第一回目は『車の地産地消が原因説』です。

車の地産地消が原因説

車の生産と言うと、日本で生産して海外に輸出しているイメージを持つ人が多いです。しかし、日産やホンダなど大きいメーカーは違います。(トヨタは国内生産の維持にこだわりを持っているため例外です。今は競争力があるので美談で済まされますが少し心配です・・・)

日本で売る車は日本で開発・生産し、外国で売る車も現地で開発・生産します。

この方法によって、海外生産車を国内へ投入ができないのではないかと考えられます。

なぜ車を地産地消にするのか?

日産の2019年の生産台数速報をご覧ください。

日産自動車2019年12月度および2019年1月~12月累計 生産・販売・輸出実績(速報)

  • 総生産数   約496万台
  • 日本生産   約80.5万台
  • 日本から輸出 約45.6万台
  • 日本での販売 約36.7万台

総生産数の内、日本からの輸出は10%程度しかありません。少なく感じられる方も多いですが、これはリーマンショック時に発生した超円高時代の教訓でもあるのです。

当時、1ドル80円程度まで円高へ推移したことから、多くの自動車メーカーが為替による大幅減益に苦しみました。そのリスクに備えるた日産は数年の歳月をかけて車の地産地消の仕組みに切り替えました。

現地生産だと開発、サプライヤー調達も現地で

日産ほどの規模になると全車種を日本で開発されているわけではありません。
北米で売る車は北米の研究拠点で、ヨーロッパにはヨーロッパの開発拠点で開発している場合が多いです。特に調査や走行試験、法規の適合性確認試験などは車を発売する場所で実施した方が効率も良く、開発コストが抑えられます。

また、車の開発・生産するうえで重要となるサプライヤー選びや部品調達ルートの構築には、開発拠点と生産拠点を同じ場所にした方が効率的と言える場合が多いです。

つまりこの地産地消は企業にとっては効率的な仕組みと言えるのです。

ただし、気が変わって日本でも生産したいなど急な計画変更や生産地を増やすと言った事は容易には行きません。

なぜなら、日本で生産となると大型部品は日本のサプライヤーで調達することになります。こうなるとサプライヤーの型代や治工具代の支払いが発生します。また品質の観点から調達先を切り替えた部品では試験のやり直しも発生するため新型車開発よりは安いものの、大きくは変わらない開発費が掛かってしまいます。

このように海外で既に売っている車でも日本生産化は相当な投資が伴うため、売れる見込みが無ければ海外で既に売っている車の導入はできないのです。

海外から逆輸入はなぜできない?

日本での生産が難しいなら海外から直輸入すればよいのでは?と考えた人も多いのではないでしょうか?それは確かに可能です。

ただし、車両価格がライバルより高くなり、納期も3か月以上とユーザーへのデメリットが多いです。

最近ではタイで生産しているKICSが日本で導入されましたし、ホンダは既に英国生産のシビックハッチバックを逆輸入して売っています。

ただ、日本に導入するためには日本向けに車を調整する必要が出てきます。例えば

  • 排ガス・燃費を日本の法規に合致するように調整する(案外時間やコストがかかります)
  • 日本の法規に合わせた装備品開発(SUVならキノコミラー、180km/hのリミッターやナンバープレートの取り付け位置の調整)
  • ウインカーレバーを右に付ける(もしサプライヤーに新しい型を作ってもらうと結構な額のお金がかかる)
  • 運転支援機能(車線認識)の確認や調整(現地を数万キロは走りこむ)
  • オプションや装備品の見直し(種別が増えるので生産側の負担や投資が発生する)

このように数億円単位のコストが発生する調整が必要になります。

また海外からの輸入のため輸送費や為替リスクが発生するため車両価格がどうしても高くなりがちで、納期も注文から3か月以上かかる遅さもネックです。

まとめ

日産はなぜ国内軽視なのか、1つ目の説として車の地産地消が原因説を紹介しました。

つき詰めると、リーマンショックがそもそもの原因とも言えそうです。

車の開発から生産そして販売まですべてが同じ地域で完結する仕組みは限られたリソースを有効に使うには良いです。ただこのように融通が利かないという大きなデメリットがあります。

そのデメリットを顕著に受けてしまっている市場が日産の場合は日本と言う事です。

次回は、2つ目の説として『CMFプラットフォームへの投資ができない説』を紹介しようと思います

※まだリサーチ中ですので次回の説は変わるかもしれません